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外国人から学んだ「恩がえし」

外国人が日本で仕事や仕事のやり方を学ぶ機会は多い。今日は、自分が外国人から学んだことを報告したい。「恩がえし」である。社会全体が効率や生産性やコストを最優先するあまり、人間的関係や、つながりが希薄になっていなかということを思い知らされた。経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)制度下で日本の介護施設で多くの外国人が働いてきた。介護分野のEPAではインドネシア、フィリピン、ベトナムから受け入れてきた。先日、日本で働くフィリピン人の介護士から転職の相談があった。とてもまじめな好青年。やさしい気持ちの持ち主だ。介護福祉士の国家試験を受験したところ、おしくも2点足りずに涙をのんだ。愛知県にあるとてもすばらしい介護施設に紹介した。めでたく内定をいただけた。本人はたいへん喜んだ。しかし、自身が働いている施設で転職の旨を報告したところ強く慰留された。上司から転職はできないと伝えられる。転職するならフィリピンに帰国するしかないと。もちろん制度的には転職は許されている。そのことはきちんと本人にも伝えた。本人も理解した。しかし、本人は慰留された上司と施設の気持ちを大切にしたいと内定を辞退した。正直な気持ちを聞いてみた。「本当は転職したい」と明確に答えた。しかし、それ以上にお世話になった、自分を育ててくれた施設への「恩」を返したいと内定辞退を確定した。自分の利益よりも、お世話になったひとへの「恩」を優先した。ひょっとすると日本人が忘れかけているかもしれない「こころ」を思い知らされた。外国人から学ぶことは多い。これからもきっと。